KeiAtGULC’s blog

ジョージタウン・ロー留学記 2018/2019

サマー前半 : Foundations

  またまた週末の投稿になりました。

8月ももう終わりというのにこの投稿は7月の内容を扱います笑

 

 さて先の投稿で教科書を購入したことをお伝えしましたが、遂に講義が7月10日から始まりました。

 

 このサマープログラム(サマーエクスペリエンス;Summer Experience)は7月9日~8月17日までのおよそひと月半の期間に及びます。その間、前後半の2部に分かれます。

前半(7月9日~7月27日):Foundations of American Law (アメリカ法基礎)

後半(7月30日~8月17日):Professional Responsibility (法曹倫理)OR U.S. Legal Research, Analysis and Writing(法律英語) 

 

この前半にはアメリカ法基礎をおよそ100人の学生全員が同じ教室で受け、後半は選択肢の中からどちらか履修したいクラスを1つ選ぶということになっております。

 

前半のクラスは月曜から金曜を通して、毎日2コマ、2時間の講義です。

日本と違って(少なくとも自分の経験則ですが)講義が長い分間に10~15分の休憩が入るので、実質1時間45分程度でしょうか?

大教室なため、教授が指名して答えさせるというソクラテス・メソッドはこの講義ではとられておらず、随時自ら進んで発言するということが期待されています。

 

毎回の講義では1コマ当たり20~30ページ程度の指定された箇所を読んでくることも期待されます。その理解の上で講義が進められ、勿論予習時にわからなかったこと、頭に浮かんだ疑問などを教室で問うことも当然にできます。

今思えば、これから秋学期が始まるのですが秋学期のそれぞれの講義のシラバスに照らして、このサマーの1コマ当たりの予習量は、秋学期の講義に比べてはずっと少ないように思えます。勿論、サマーは非・英語圏の人間が大多数ですので、アメリカの教室に慣れるという意味合いが強くある以上、そのように「抑え気味」になるのも当然かとは思いました。

 

前半のクラスでは、講義名の通り、アメリカ法基礎を扱います。

コモン・ローとは何か、アメリカに併存する制定法とコモン・ローの関係、アメリ憲法不法行為法、契約法、製造物責任法会社法をざっとさらうものですが、後々試験対策をしていて、日本ではあまり有名ではない判例を使ってはいるものの、教科書の構成が素晴らしいために短い時間であっても、本質に近づくことのできるアプローチがとられているように思えます。

その一例として、アメリカにおける製造物責任法の誕生が、契約上の保証(warranty)と不法行為法の合流によって形成されたという、時系列を伴って法の発展を見るというのは、日本にも同じことは言えますが、アメリカ法の特色の下ではより一層際立つものと言えるかと思います。


数多くの判例を扱いましたが、やはり印象的だったのは、2013年のObergefell v. Hodges最高裁判決でしょうか。この判決を読んでみるとアメリカ法を学んでいるんだなということが強く実感できました。同期の日本人弁護士の先生がおっしゃるに、夫婦別姓事件判決で合憲が出る日本の感覚では到底たどり着かないレベルの話をしているとのことでした。ニュースでしか日本で取り上げられていない、同姓婚を禁ずる州法に違憲を突き付けた最高裁、とでしか日本では認識していませんでした(法科大学院憲法ゼミの皆様違ったらごめんなさい)が、判例を読んでみて、なるほど、権利を「主張」する、権利を「確認」するとはこういうことなのだな、というその片鱗を見ることができました。最後の段落の1文目が素晴らしいと称賛している人もいらっしゃるようです。

“No union is more profound than marriage, for it embodies the highest ideals of love, fidelity, devotion, sacrifice, and family. “

さすがは最高裁判事、文才の溢れんことをみますと、私の大学(&大学院)の恩師の先生が文学を読むように学生に強く勧めていることにも合点がつきます。

もちろん、故スカリア判事らの反対意見(小さな裁判所という概念)というのも理があり、非常に難しい決断を下したということがわかりました。

 

今振り返れば、Foundationsは1日2コマあるので、最初の1歩目としては大変でしたが、慣れるという意味においても、また、夏に単位を取得できるという意味においても、非常に価値のあるものでした。2019年以降、ジョージタウン・ローのLL.M.を検討なさっているには強くお勧めします。

何より、このサマー・エクスペリエンスには一定数のLL.M.生が来ますし、同じ講義をひと月半受けるので仲良くなるという意味においても、秋学期から参加することに比べ、友人や繋がりができるという精神的な余裕を与えてもくれるものだと思います。